現在の総記事数: 277件!
漫画家は職人+総合芸術監督!? よく考えたらスゴいぞってお話
今回は漫画家って凄いなってタイトルそのまんまのお話をします。
私は小説も漫画もどっちも好きですが、あるとき「漫画家は職人であり芸術監督なんじゃないか?」って気付いたんですよね。
さて、それはどういうことでしょうか?
さっそく漫画家という職業を分析します!
もくじ
当然ながら、絵が描けるってスゴい!
私は絵を描くのが好きですが下手です。上達しないし描いてるうちに嫌になるのですぐ諦めます。なので絵が上手い人にはひときわの尊敬があります。
しかし第一線で活躍する漫画家はただ絵が上手いだけではなく、そこに自分の個性まで乗せて描いているのです。
また、日々新しい画風が出てくることも驚きです。
日本は漫画大国ですね!
更にストーリーも考えます!
きょうび、絵が上手い・絵が個性的というだけでは食っていけません。そういう漫画家は他にもたくさんいるからです。
なので絵以外にも付加価値がなければなりません。
絵と同じぐらいに重要なもの、それはストーリーです!
読者をハラハラさせ物語のなかにいるようなめくるめく展開…。
こういう漫画に出会えたときの幸せときたら!
更に世界観や構成も考えなければなりません!
さて、個性的な絵に加え、独創的・魅力的なストーリーも用意できました。
しかしここからも気が抜けません。
世界観を大胆かつ詳細につくり込まなければなりません。またその世界で活躍する人物のキャラクターとそれぞれの相関関係。
更にジョジョで言えばスタンドのような特殊能力などなど。
アンタたちどんだけ想像力豊かなんだよって話です。
取材もしますがな!
想像力だけでは難しいこともあります。裏を取る必要がある場合もあります。
もちろん漫画家の先生方もネットで検索するんでしょうが、それで足りなければ取材にも出掛けるでしょう。
作品によっては資料もたくさん読み込まなければなりません。
また、実社会が舞台の漫画では法律を調べる場合もあります。
…大変ですよね!
基本、ここまでひとりでやります! …ボツとか言われながら!
「原作」と「漫画」が別ってパターンを除けば、ここまでを全部、ぜ~んぶひとりでやってしまいます!
編集者もいますが、編集者は基本「助言(=ボツ)」の係ですからねw
だから漫画家が多くを考える必要があります。アシスタントにしたって、漫画家が考えたり構成したことをこなしてもらうって話ですから。
もうね、やってないのは音楽だけって話です。
絵、コマ割り、ストーリー、世界観、キャラ設定からトリック的なことまで。…更に言えば、ちょっとクサいセリフから「キリッ」ってセリフまで、キャラに応じてセリフも用意しなければなりません。
ちょっとアンタたち凄すぎるだろって話です!
小説を凌ぐ描写がスゴい!
…ときには小説を上回る描写があってハッとすることがあります。
福本伸行は「カイジ」が圧倒的に有名ですが、隠れた名作「銀と金」が凄い!
さて、その「銀と金」の主人公・森田が巨悪・蔵前と対決する場面があります。以下は森田を追い詰めた蔵前が「恐怖心」について語るところです。
これはわしのイメージの中の話なんだが
わしは恐怖心の性質を水のようだと考えているそれにまとわりつかれたら満足に動けないという点や
極まれば呼吸さえ困難になるという点が酷似している森田がその水をひかせるには今一度 心の気圧を上げるしかないが しかし今 彼にその気力はあるまい
恐怖は一度侵入を許すとその進行は早い
あっという間にくるぶしを洗い
ひざ腰を浸す 首まですぐだもう少し恐怖心が高まれば その水は鼻と口をふさぐ
そうなればパニックだ………
しかし…ヤツはまだ……そういう状態ではない
まだ正気を保っておるただし もう……ムダ口はたたけまい
たたけば水を飲む 破滅への傾斜を早める
森田はそれがわかっているから口を開かない
静かにしておる
…「恐怖心」をここまで的確に描写したものを私は他に知りません。
福本作品のなかでも脂が乗り切った「銀と金」…お勧めです。
そして毎週の締め切りッ!
毎週毎週締め切りって尋常じゃありません!
こんな私の誰得サイトでも毎日欠かさず何かを書くって結構プレッシャーなんですよね。
ネタがあるときはいくらでもいけますが、ネタが枯渇しかけたときとネタがあっても上手く表現できないときがやばい!
時間ばかり経って何も出てこない・何も書けない。そして迫り来る締め切り…。
私でさえこれです。
まして商業誌で多くの関係者が今か今かと原稿を待ち構えていて、それが連載終了まで延々と続くんです。
サイトと違って漫画家の場合は毎週ですが、おそらくあっという間に次の週が来るんだろうと推測します。恐ろしや。
まとめ
今回は漫画家って凄い、凄すぎる!ってことで勝手に礼賛しました。
漫画なんてそこらの定食屋に置いてあるボロボロになったものを箸を片手にめくるもの、…そんな読まれ方がデフォルトと言えなくもありません。
しかしこうやって分析すると作り手のレベルってハンパなく高いんですよね。
ひとつのことを極める職人的な能力と全体を俯瞰し監督する能力。この相反する能力を統合し作品にする。これを基本、ひとりでこなさなければなりません。よって漫画家は職人+総合芸術監督と言えるのです!
ちなみにこの記事、うまく文章がまとまらなくて難儀しました。
漫画家の千分の一ぐらいは苦労したのでした。